n8n vs Make:自動化ツール徹底比較
n8n vs Make.com 徹底比較:最適な自動化ツールの選び方
はじめに
業務自動化ツールの選択は、組織の生産性と効率性に大きな影響を与えます。本記事では、人気の高い2つの自動化プラットフォーム「n8n」と「Make.com(旧Integromat)」を徹底比較し、それぞれの特徴と最適な使用シーンを解説します。
機能比較表
機能 | n8n | Make.com |
---|---|---|
デプロイメント | セルフホスト / クラウド | クラウドのみ |
料金体系 | オープンソース(無料)/ 有料版あり | 従量課金制 |
ノード/モジュール数 | 400+ | 1000+ |
カスタムコード | JavaScript/Python 対応 | 限定的 |
ビジュアルエディタ | ◎ | ◎ |
エラーハンドリング | 高度 | 標準 |
バージョン管理 | Git 連携可能 | なし |
エンタープライズ機能 | ◎ | ○ |
n8n の詳細解説
セルフホスティングの魅力と現実
「データは自社で管理したい」という要望、本当に多いんです。n8nなら、自社のサーバーで動かせるので、機密データも安心して扱えます。
実際の導入例 金融系のお客様で、顧客データを一切外部に出せないケースがありました。n8nのセルフホスト版なら、完全に社内で完結。セキュリティ監査もクリアできました。
設定は少し複雑ですが(Docker Composeで20行くらい)、一度動いてしまえば安定しています。データベースも自由に選べるので、既存のインフラに合わせやすいのも魅力です。
カスタムノードで無限の可能性
n8nの真骨頂は「自作ノード」です。既存のノードで対応できない処理も、JavaScriptで自由に作れます。
実際に作ったカスタムノード例
- 独自の在庫管理システムとの連携
- 社内の承認フローシステム
- レガシーシステムのAPIラッパー
プログラミングスキルは必要ですが、一度作ってしまえば、チーム全員が使えるようになります。これは本当に便利!
Make.comを選んで良かったケース
マーケティングチームの大成功
あるスタートアップのマーケティングチームでの話。
「プログラミングはできないけど、自動化したい」 「IT部門に頼まずに自分たちで何とかしたい」
こんな要望に、Make.comは完璧に応えてくれました。
結果:
- リード獲得からCRM登録まで完全自動化
- メールマーケティングの効率が3倍に
- マーケター自身がワークフローを改善
特に良かったのは、「見たまま理解できる」こと。難しいコードは一切なく、ドラッグ&ドロップですべて完結しました。
すぐに始められる手軽さ
「今すぐ使いたい!」
こんな時、Make.comは最強です。アカウントを作って、5分後には最初のワークフローが動いています。
サーバーの設定?不要です。 データベースの準備?いりません。 セキュリティ設定?Make.comがやってくれます。
このスピード感は、特にPOC(概念実証)で威力を発揮します。
どちらを選ぶべきか?実体験から学んだ判断基準
n8nがピッタリだったケース
正直に言うと、最初は「Make.comの方が楽そう」と思っていました。でも、以下のケースでは絶対にn8nをおすすめします。
機密データを扱う時
金融系のクライアントから「顧客データは絶対に外部に出せない」と言われた時、n8nが救世主でした。自社サーバーで動かせるので、セキュリティ監査もクリア。
「クラウドサービスは使えない」という制約がある企業、意外と多いんですよね。
「うちだけの特殊な処理」がある時
ある製造業の会社で、独自の在庫管理システムと連携する必要がありました。APIもないレガシーシステム...普通なら諦めるところですが、n8nなら自作ノードで対応できました。
技術力は必要ですが、「できない」が「できる」に変わる瞬間は最高です。
Make.comが最高だったケース
とにかく今すぐ始めたい時
「明日のキャンペーンまでに自動化したい!」
こんな無茶な要求、ありますよね?Make.comなら本当に間に合います。アカウント作成から動作確認まで1時間。これは他では真似できません。
エンジニアがいないチーム
マーケティング部門から「エンジニアに頼まずに自分たちでやりたい」という相談。Make.comを提案したら、翌週には複雑なワークフローを自分たちで作っていました。
「プログラミングできないから...」という言い訳が通用しなくなる、それがMake.comの魅力です。
実際のコストはどれくらい?正直な比較
n8nの本当のコスト
「無料って聞いたけど、本当?」とよく聞かれます。正直に言うと、タダより高いものはない...と言いたいところですが、うまくやれば本当に安く運用できます。
セルフホストの場合(私たちの実例)
- 小規模(〜10ワークフロー):月5,000円程度
- 中規模(〜50ワークフロー):月15,000円程度
- 大規模(100ワークフロー以上):月30,000円程度
ただし!初期設定に40時間、月10時間のメンテナンスは覚悟してください。エンジニアの時給を考えると...
クラウド版なら手間いらず 最近はクラウド版も充実してきました。月20〜50ドルで、面倒な管理から解放されます。正直、これが一番コスパいいかも。
Make.comの分かりやすい料金
Make.comの料金体系は本当にシンプル。使った分だけ払う、それだけです。
実際の使用感
- 個人や小規模チーム:無料プランで十分
- 中小企業:月1,000〜3,000円程度
- 大企業:月5,000円〜(でも使い放題感覚)
「operations」って何?と思いますよね。簡単に言うと「処理の回数」です。メール1通送る=1operation、みたいな感じです。
もしツールを変えたくなったら?移行の現実
n8nからMake.comへの引っ越し
「n8n難しい...Make.comに変えたい」
実は、この相談けっこう受けます。正直に言うと、移行は大変です。でも不可能じゃありません。
私たちがやった方法:
- まず、今あるワークフローを全部リストアップ
- 簡単なものから一つずつ作り直し
- 並行稼働期間を設けて徐々に切り替え
一番大変だったのは、カスタムノードの移行でした。Make.comには同じ機能がないことも多いので、別の方法を考える必要があります。
Make.comからn8nへの引っ越し
「セキュリティ的にオンプレじゃないとダメになった...」
これもよくあるパターンです。Make.comからn8nへの移行は、技術的には楽ですが、運用面での準備が必要です。
成功のポイント:
- エンジニアチームの準備(最重要!)
- サーバー環境の整備
- 移行ツールの活用(いくつか公開されています)
ある会社では、3ヶ月かけて50個のシナリオを移行しました。大変でしたが、「自社でコントロールできる安心感」を得られたそうです。
実践で学んだベストプラクティス
エラーが起きた時の対処法
自動化で一番怖いのは「エラーに気づかないこと」です。
n8nでの失敗談 ある日、重要なワークフローが3日間エラーで止まっていたことがありました。誰も気づかず、お客様からの問い合わせで発覚...冷や汗ものでした。
それ以来、必ずエラー通知を設定しています:
- Slackに即座に通知
- 3回リトライしてダメなら人間が対応
- エラーログは必ず保存
Make.comの便利機能 Make.comは標準でエラーハンドリングが優秀です。「エラーが起きたらこうする」という設定が簡単にできるのが魅力。
パフォーマンスを上げるコツ
大量データ処理の極意
「10万件のデータを処理したら、3時間経っても終わらない...」
こんな経験ありませんか?コツは「小分けにすること」です。
- 1000件ずつ処理
- 並列で複数のワークフローを実行
- 処理済みデータはキャッシュ
これで処理時間が10分の1になりました!
まとめ:結局どっちがいいの?私の本音
1年以上、両方のツールを使い倒してきた私の結論は...「どっちも最高!でも使い分けが大事」です。
n8nへの愛 正直、エンジニアとしてはn8nが大好きです。自由度の高さ、カスタマイズ性、そして何より「自分でコントロールできる」という安心感。深夜にトラブルが起きても、自分で直せるのは本当に心強い。
でも、セットアップの大変さを考えると、誰にでも勧められるわけじゃありません。
Make.comへの感謝 Make.comには何度も救われました。「明日までに!」という無茶な要求に応えられたのは、Make.comのおかげ。ビジネスユーザーが自走できるようになった瞬間の喜びは、忘れられません。
ただ、複雑なことをやろうとすると、ちょっと物足りないのも事実。
私の使い分け方
- セキュリティが厳しい案件 → n8n一択
- スピード重視の案件 → Make.com
- 長期運用する基幹システム → n8n
- マーケティング自動化 → Make.com
結局、「ツールは手段」なんですよね。大切なのは、何を自動化して、どんな価値を生み出すか。
両方使える環境なら、両方使えばいい。そんな欲張りな選択肢もアリだと思います。実際、私たちの会社では両方使っています。適材適所、これが一番です。
エンハンスド株式会社では、n8nもMake.comも、両方の導入・運用をサポートしています。「どっちがいいか分からない...」という段階から、お気軽にご相談ください。一緒に、最適な自動化の形を見つけましょう!
参考リンク
執筆者: エンハンスド株式会社 自動化推進チーム
公開日: 2025年7月10日
カテゴリ: 自動化, ツール比較, ワークフロー
タグ: #n8n #Make #自動化 #NoCode #LowCode #業務効率化