ChatGPT vs Gemini vs Claude|同じ議事録を書かせてみたら、拾う発言と削る発言でキャラの違いがくっきり出た

前回の「同じ提案書を書かせてみた」を公開したあと、「次の議事録、うちも一番モヤっとしてるから早く見たい」という声を、社内外から本当にたくさんいただきました。
営業メールと提案書の検証で、ChatGPT・Gemini・Claude の3社は「文体」ではなく「構成レベルで違う」ということが分かってきました。ただ、日々の業務のなかで「AIに一番任せたいけれど、任せるのが一番怖い文書」といえば、やっぱり 議事録 ではないでしょうか。
営業メールと提案書は、「これから作るもの」でした。書き手の意思が主役で、事実は後付けで足していけばいい。ところが議事録は真逆です。事実の 再構成 が主目的で、書き手の意思は極力入れてはいけない。だからこそ、「どの発言を拾って、どの発言を削るか」「どの粒度でまとめるか」「決定事項と持ち帰り事項をどう分けるか」に、AI ごとのクセが色濃く出ます。
というわけで、検証シリーズ第3弾は予告どおり、「ChatGPT vs Gemini vs Claude、同じ議事録を書かせてみた」です。

検証の前提を先に共有します
前回・前々回と同じく、比較の前に条件をそろえておきます。
使ったモデルは、いずれも 2026年7月時点の各社の主力モデル(ChatGPT / Gemini / Claude いずれも有償プランの標準モデル)
プロンプトは 一言一句同じ ものを投げる
会話の履歴は すべて新しいスレッド から開始
カスタム指示、メモリー機能、システムプロンプトは すべてオフ
生成は 1回だけ。書き直し・追加指示なし
音声ではなく、あらかじめ用意した 同一の文字起こしテキスト を渡す(音声認識精度の差が入ると別変数になるため)
同じ条件、同じお題、同じ回数。前回と同じルールで並べます。

今回渡した文字起こし
議事録の検証で一番むずかしいのは、同じ「素材」を渡すことです。今回は、前回の提案書検証と地続きの設定で、2次アポで社長・役員が同席した1時間の会議を想定し、あらかじめ2,000字程度の文字起こしを用意しました。
そのなかには、意識的に次のような「議事録で判断が分かれる要素」を混ぜてあります。
明確な決定事項(3件)
決定に至らなかった持ち帰り事項(2件)
参加者ごとに温度感が違う懸念表明
世間話・雑談まじりのやり取り
「〜だと思うんですけど」といった 言い淀み・揺れ
具体的な数字を含む発言(月額費用・削減時間・対象部署の人数)
アクションアイテムに落ちる依頼(4件、責任者と期日つき2件・期日なし2件)
このうち、AI が どれを拾って、どれを削るか。どの粒度でまとめて、何を「未決」として残すか が、今回の見どころです。
今回使ったプロンプト
前回と同じく、「役割 / 素材 / 目的 / 制約」の4ブロックで組み立てました。
あなたは中小企業向けにITサービスを提供する会社のインサイドセールスのアシスタントです。
以下の会議の文字起こしを読み、社内共有用の議事録を作成してください。
# 会議の概要
- 日時/2026年7月○日 14時から15時
- 出席者/先方:総務部長、現場責任者、代表取締役、取締役(管理担当)
自社:営業担当(佐藤)、SE(山田)
- 目的/紙業務のデジタル化に関する2次アポ。PoC 開始の是非を判断する
# 目的
- 社内メンバーが、この議事録だけで会議の意思決定と次アクションを追える状態にする
- 押し引きのニュアンスや温度感ではなく、事実と決定事項を軸にまとめる
- 未決の論点は「持ち帰り事項」として別出しする
# 制約
- 「日時/出席者/議題/決定事項/未決事項/アクションアイテム/次回予定」の順で構成
- アクションアイテムは「担当」「内容」「期日」を必ずカラム化する
- 発言者ごとの一言一句は残さず、要旨に丸めてよい
- 世間話・雑談は議事録には含めない
- A4 1枚に収まる分量に抑える
# 文字起こし
(ここに2,000字程度の会議文字起こしを添付)議事録は提案書と違って 削る仕事 が中心です。「どこまで削るか」「削るときに何を残すか」で、AI ごとに驚くほどキャラが割れました。
ChatGPT の回答
まずは ChatGPT から。返ってきた議事録がこちらです。
【議事録|紙業務デジタル化 2次アポ】
■ 日時/2026年7月○日(○) 14時00分〜15時00分
■ 場所/先方本社会議室
■ 出席者
先方/総務部長 A様、現場責任者 B様、代表取締役 C様、取締役(管理担当)D様
自社/営業担当 佐藤、SE 山田
■ 議題
1. 前回提案内容の再確認
2. PoC 実施の是非判断
3. 次アクションの合意
■ 決定事項
1. 現場責任者 B様所管の「第2製造課」を対象に、8月から2ヶ月間の PoC を実施する
2. PoC 期間中の費用は、月額3万円のうち初月分を自社が負担し、2ヶ月目から先方負担とする
3. 次回打合せは 8月上旬、PoC 開始前のキックオフを兼ねて設定する
■ 未決事項
1. 全社展開時のライセンス体系(現状は50ライセンス想定、要見積り再算出)
2. 既存の生産管理システムとの API 連携範囲(詳細仕様書は先方から追って共有)
■ アクションアイテム
┌────────┬────────────────────────────┬────────────┐
│ 担当 │ 内容 │ 期日 │
├────────┼────────────────────────────┼────────────┤
│ 佐藤 │ PoC 実施計画書(対象範囲・KPI)を先方へ提出 │ 7月17日 │
│ 山田 │ 第2製造課 現場ヒアリング日程の調整 │ 7月17日 │
│ A様 │ 社内稟議に必要な追加資料リストを共有 │ 7月末 │
│ D様 │ 生産管理システム側の連携仕様書を共有 │ 期日は追って調整 │
└────────┴────────────────────────────┴────────────┘
■ 次回予定
2026年8月上旬(日程調整中)/PoC キックオフ会議前回・前々回で見せていたキャラが、議事録でも安定して出てきました。
構成が教科書どおり。「日時→出席者→議題→決定→未決→アクション→次回」の順序を1つも崩さない
決定事項の書き方が具体的。「8月から2ヶ月間」「月額3万円のうち初月分を自社が負担」など、数値と主語が両方入っている
アクションアイテムを迷わず表組み で出してくる。指定の「担当/内容/期日」を、罫線つきで機械的にきっちりカラム化
期日が確定しない項目も、"期日は追って調整"と明記 して逃さない
体感としては、「そのまま社内 Wiki に貼れる完成度、9点」です。
一方で、「ChatGPT らしさ」もあります。全体的にキレイに整いすぎていて、現場責任者 B様の「うちの現場、正直まだ紙の方が早い場面もあるんですよ」といった懸念表明が要旨から消えている。決定事項は拾うけれど、決定に至った経緯の温度感はきれいに削り取ってしまう傾向があります。

Gemini の回答
続いて Gemini です。同じ文字起こしを、同じ初期状態のスレッドに投げました。
【議事録|紙業務デジタル化 2次アポ】
1. 日時/2026年7月○日(○) 14時00分〜15時00分(60分)
2. 場所/貴社本社 3階会議室
3. 出席者
貴社様/総務部 A部長、製造部 B責任者、代表取締役 C様、管理担当 D取締役
弊社/営業 佐藤、SE 山田
4. 会議の背景
前回の一次アポにて共有した「紙業務のデジタル化に関するご提案」について、
経営層のご判断を仰ぐことを目的に開催。主要論点は、PoC 開始の是非、
および全社展開時の投資判断材料の擦り合わせ。
5. 議題と主な議論
(1) 前回提案内容の再確認
- 総務部での月30時間の集計工数、現場の判読ミス、月次経営指標の遅延について再共有
- 現状の紙運用が現場に「慣れ」として定着しており、置き換えの心理的コストがある点も確認
(2) PoC 実施の是非判断
- 対象部署は現場責任者 B様所管の「第2製造課」に絞ることで合意
- 期間は8月から2ヶ月間で、KPI は「集計工数」「入力抜け漏れ件数」「現場からの定性評価」の3点
- 費用については、初月分を弊社負担、2ヶ月目から貴社ご負担とする条件で合
(3) 全社展開に向けた論点整理
- 現時点のライセンス想定は50ライセンス。全社展開時の見積りは再算出が必要
- 既存の生産管理システムとの API 連携範囲は、貴社側の仕様書に基づき、追加スコープとして別途整理
6. 決定事項
・第2製造課を対象に、8月開始・2ヶ月間の PoC 実施
・PoC 期間中の月額費用は、初月弊社負担、2ヶ月目以降貴社負担
・次回打合せは 8月上旬、PoC キックオフを兼ねて開催
7. 未決事項
・全社展開時のライセンス体系および見積り再算出
・既存生産管理システムとの API 連携範囲
8. アクションアイテム
担当|内容|期日
佐藤|PoC 実施計画書(対象範囲・KPI・スケジュール)を提出|7月17日
山田|第2製造課 現場ヒアリング日程の調整|7月17日
A部長|社内稟議に必要な追加資料リストの共有|7月末
D取締役|生産管理システム側の連携仕様書の共有|追ってご相談
9. 次回予定
2026年8月上旬(日程調整中)/PoC キックオフ会議こちらもキレイですが、ChatGPT とは違うキャラがしっかり出ています。
「会議の背景」を勝手に1セクション足してくる。プロンプトの構成指定には無いのに、「4. 会議の背景」を差し込み、会議の位置づけを説明してくる
議論の流れを "議題と主な議論" として残す。ChatGPT が要旨まで削り込んだ議論プロセスを、Gemini は 論点の粒度で残す
アクションアイテムは罫線を使わず、区切り文字で書く。表組みも読めるけれど、テキストで貼っても崩れない「Google ドキュメント貼り付け前提」のような形式
体感としては、「役員会向けの共有資料、8.5点」です。
Google 検索と地続きの Gemini らしく、「まずは背景・文脈を残してから、決定に降りていく」という組み立てが、議事録でも顔を出しています。社内の非出席者に配布する用途では、この Gemini 版が一番、後日読み返したときに 経緯を追いやすい 傾向がありました。
一方で、プロンプトで指定していないセクションを追加するのは、議事録のように フォーマットが決まっている文書 では、レビュアーによっては嫌がられます。「余計なことをするな」と怒られるタイプの、良さと悪さが同居した挙動です。

Claude の回答
最後に Claude です。同じ条件で投げてみた結果がこちら。
【議事録|紙業務デジタル化 2次アポ】
日時/2026年7月○日(○) 14時00分〜15時00分
場所/貴社本社会議室
出席者/貴社様 A部長・B責任者・C代表・D取締役、弊社 佐藤・山田
議題
1. 前回提案の再確認
2. PoC 実施の是非
3. 次アクションの合意
決定事項
1. 第2製造課(B責任者所管)を対象に、2026年8月から2ヶ月間の PoC を実施する
2. PoC 期間中の月額費用は、初月分を弊社負担、2ヶ月目以降を貴社負担とする
3. 次回打合せは8月上旬、PoC キックオフを兼ねて開催する
未決事項(持ち帰り)
1. 全社展開時のライセンス体系
※現時点は50ライセンス想定。ただし本会議では
「導入部署の絞り込み次第で数字は変わる」との議論があり、
再見積りは PoC 中間報告のあとに再算出することで合意
2. 既存の生産管理システムとの API 連携範囲
※詳細仕様は D取締役より追ってご共有いただく前提
アクションアイテム
┌────┬───────────────────────────┬──────┐
│担当 │内容 │期日 │
├────┼───────────────────────────┼──────┤
│佐藤 │PoC 実施計画書(対象範囲・KPI・体制)を提出│7月17日 │
│山田 │第2製造課 現場ヒアリング日程の調整 │7月17日 │
│A部長 │社内稟議に必要な追加資料リストの共有 │7月末 │
│D取締役│生産管理システム側の連携仕様書の共有 │後日調整 │
└────┴───────────────────────────┴──────┘
補足メモ(議事録本文には含めていません)
・B責任者より「うちの現場、正直まだ紙の方が早い場面もある」との
ご発言あり。PoC 対象を第2製造課に絞った背景の一因となっています。
・費用の初月弊社負担は、C代表の「小さく始めたい」というご意向を
踏まえた合意であり、全社展開時の前提ではありません。
・全体を通じて、押し引きよりも「まず現場感覚を確認したい」という
温度感が終始優勢でした。
次回予定/2026年8月上旬(日程調整中) PoC キックオフ会議3つのなかで、いちばん 「議事録の外側」を分けて出してくる 構成が返ってきました。
議事録本体は極めてタイト。指定した順序を守り、決定事項も未決事項も、余計な説明を混ぜずに落とし込む
未決事項に "議論の背景" を短く注記 する。「本会議では〜との議論があり、〜のあとに再算出することで合意」といった、なぜ未決なのかを1文で残してくる
議事録本文の外に「補足メモ」を分離 してくる。指定していないのに、「議事録には含めないけれど、社内共有のときに一言添えたい情報」を別セクションで用意する挙動を見せた
補足メモには、現場責任者 B様の温度感が反映された発言 が、そのまま短く引用されている。他の2社が要旨に丸めた部分を、Claude だけは「メモとして残しておく価値がある」と判断して残す
体感としては、「議事録+雑感メモ、9.5点」。
一方で、指定していない「補足メモ」を勝手に追加してくるのは、Gemini の「会議の背景」以上に賛否が分かれます。フォーマット厳格な組織では、「議事録は議事録だけでいい」と怒られる可能性がある挙動です。逆に、属人化を防ぎたい現場では、この補足メモの粒度が、後日読み返したときに一番刺さります。

3つを並べて分かったこと
ここまでの結果を、前2回と同じフォーマットで整理します。
ChatGPT … 型が教科書どおり、決定事項が具体、温度感は消える、社内 Wiki 向き
Gemini … 背景セクションを勝手に足す、議論プロセスを残す、後日配布・非出席者向き
Claude … 本文はタイト、未決に議論背景を注記、補足メモを分離、属人化防止向き
前回(提案書)では 「話の入り口」 で違いが出ました。今回の議事録では、「議事録の外側を、どこまで、どんな形で残すか」で明確に差が付きました。
ChatGPT … 議事録の外側は削り切る(純粋な決定事項ドキュメントに寄せる)
Gemini … 議事録の内側に "背景・議論" セクションを差し込む(プロセス重視)
Claude … 議事録の外側に "補足メモ" を分離する(本文とニュアンスを分ける)
同じ文字起こしを渡しても、3社の 「議事録らしさ」の定義そのもの が違う。ここまで露骨に分かれるとは、正直、検証前は想定していませんでした。

議事録で見えた「AI選定の判断軸」
営業メール・提案書検証のときと同じことを繰り返しますが、AI選定はやはり 「業務でよく使うお題」を、同じ条件で並べてみる のが最短でした。
そのうえで、議事録という切り口で見えた判断軸は、次の3つです。
「議事録を誰が、いつ読むか」を先に決める。会議直後に見る出席者向けなら ChatGPT、あとで配布する非出席者向けなら Gemini、社内の属人化を防ぎたいなら Claude
「フォーマット厳格度」を先に決める。指定した項目以外は絶対に足すな、というルールが強い組織では ChatGPT が最も安全。「気の利いた追加は歓迎」の文化なら Gemini・Claude が刺さる
「発言の温度感を残すか、削るか」を先に決める。事実だけでいいなら ChatGPT、議論プロセスも残したいなら Gemini、ニュアンスを別枠で残したいなら Claude
議事録の中身よりも、「その議事録は、誰が、いつ、何のために読み返すのか」を先に言語化しておくと、AI 選びは驚くほどラクになります。ここは、前2回の営業メール・提案書と、まったく同じ結論です。
次回予告 ── 「同じHTMLを書かせてみます」
検証シリーズの次回は、予告どおり 「同じHTMLを書かせてみた」 です。
営業メール・提案書・議事録は、いずれも「日本語の文書」でした。次回はいよいよ コード の領域に入ります。同じワイヤーフレームと同じ要件を渡して、3つの AI に 1枚の LP を HTML で書かせてみます。
HTML は議事録以上に「正解/不正解」の線がはっきり出やすい領域です。それだけに、AI ごとの 「コードの書き癖」 ── どこにアクセシビリティ配慮を入れるか、CSS をどう分けるか、レスポンシブをどこまで考えるか、コメントをどれだけ書き込むか ── が、露骨に差になります。実務で「AIコーディングを任せる先を決めたい」方は、次回もお付き合いください。
その次以降は、以下の順で予定しています。
同じ Excel 分析をさせてみた
同じキャッチコピーを書かせてみた
同じ議事録から「営業提案メール」を書き起こさせてみた(追加候補)
「このお題も検証してほしい」というリクエストがあれば、ぜひお知らせください。読者のみなさまの日々の業務で「モヤっと」しているお題ほど、検証する価値があると思っています。
まとめ
ChatGPT・Gemini・Claude に 同じ会議の文字起こし を渡して議事録を書かせたところ、営業メール・提案書のときとはまた違う軸で、キャラの違いがはっきり出た
ChatGPT は型が教科書どおりで決定事項が具体、温度感は削り切る、社内 Wiki 向けの議事録に強い
Gemini は背景セクションを勝手に足し、議論プロセスまで残す、非出席者への配布・後日読み返しに強い
Claude は本文をタイトに保ちつつ、外側に 補足メモを分離 する、属人化防止・現場感覚の共有に強い
3社の違いは「文体」でも「話の入り口」でもなく、「議事録の外側を、どこまで、どんな形で残すか」という判断レベルで起きていた
「その議事録は、誰が、いつ、何のために読み返すのか」を先に言語化しておくと、AI 選びは一気にラクになる
3つの AI を契約しているなら、議事録は「読み返す人」で使い分けるのが結論です。前2回の営業メール・提案書とあわせて、ご自身の業務での AI 使い分けマップ を、一度手元で描いてみてください。次回のHTML検証で、この地図に「コード領域」の1本が加わります。
その業務、AIを使えばもっと効率化できます
メール対応や書類作成、データ入力、レポート集計。毎日の定型業務は、AI と自動化の組み合わせで大きく減らせます。エンハンスドが、貴社に合った進め方をご提案します。
- 業務の棚卸しと無料診断
- AI 活用と自動化の具体プランのご提案
- 導入から社内定着まで専門チームが伴走
ご相談は何度でも無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。


