ChatGPT vs Gemini vs Claude|同じ提案書を書かせてみたら、構成の組み立て方でキャラの違いがくっきり出た

前回の「同じ営業メールを書かせてみた」を公開したあと、社内外から「次回の提案書、楽しみにしています」というリアクションを想像以上にいただきました。
営業メールの検証だけでも、ChatGPT・Gemini・Claude のキャラの違いはハッキリと見えました。ただ、日々の業務のなかで「AIに一番書かせたいのに、一番モヤっとしている文書」といえば、やっぱり 提案書 ではないでしょうか。
営業メールは4〜5行のなかで勝負が決まりますが、提案書は違います。表紙・課題・解決策・効果・事例・見積り・スケジュール、と論点の数がぐっと増える。そのぶん、「構成の組み立て方」「論理展開の癖」「見せ方の好み」で AI ごとの個性がむき出しになります。
というわけで、検証シリーズ第2弾は予告どおり、「ChatGPT vs Gemini vs Claude、同じ提案書を書かせてみた」です。

検証の前提を先に共有します
前回と同じく、比較の前に条件をそろえておきます。
使ったモデルは、いずれも 2026年7月時点の各社の主力モデル(ChatGPT / Gemini / Claude いずれも有償プランの標準モデル)
プロンプトは 一言一句同じ ものを投げる
会話の履歴は すべて新しいスレッド から開始
カスタム指示、メモリー機能、システムプロンプトは すべてオフ
生成は 1回だけ。書き直し・追加指示なし
提案書は「テキストベースの構成案」として出力させる(PowerPoint 化・Word 化は今回のスコープ外)
同じ条件、同じお題、同じ回数。前回と同じルールで並べます。

今回使ったプロンプト
前回と同じく、「役割 / 送り先 / 商材 / 目的 / 制約」の5ブロックで組み立てました。今回は、営業メールで打診したあと、初回打ち合わせで持参する 提案書 を書かせています。
あなたは中小企業向けにITサービスを提供する会社の営業担当です。
以下の条件に合う「初回打ち合わせで持参する提案書」の構成案を作成してください。
# 送り先
- 中小製造業(従業員150名規模)の総務部長と現場責任者
- 一次アポでヒアリング済み。紙の日報・作業報告書の集計に月30時間かかっている
# 商材
- 現場の紙業務をデジタル化するクラウドツール
- 導入企業の実績は300社超(うち製造業が100社超)
- 初期費用0円、月額3万円から
- スマホ・タブレット対応、既存のExcel帳票も取り込める
# 目的
- 二次アポで意思決定者(社長・役員)に同席してもらう合意を得る
- 押し売りではなく「一緒に検討する土台」を提示する
# 制約
- スライド8枚程度(表紙含む)で構成
- 1スライドにつき、タイトル+箇条書き3〜5行で書く
- 具体的な導入事例を1つだけ入れる
- 想定される「懸念点」への回答スライドを必ず1枚入れる
- 最後は「次のアクション」で締める提案書はメールよりも自由度が高い分、AI ごとに「どこに力を入れて、どこを省略するか」が本当にはっきり分かれました。
ChatGPT の回答
まずは ChatGPT から。返ってきた構成案がこちらです。
【提案書構成案|全8スライド】
Slide 1|表紙
- タイトル|現場の紙業務、月30時間をゼロに近づける提案
- 貴社名/貴社様(総務部・現場責任者様 御中)
- 提案日/株式会社エンハンスド 営業担当 佐藤
Slide 2|本日のゴール
- 現状の紙業務課題を、両者の目線で言語化する
- 解決の方向性と、想定される投資対効果を共有する
- 次回、意思決定者様も交えて「進めるか否か」を判断できる状態にする
Slide 3|現状の課題(ヒアリング内容の再整理)
- 紙の日報・作業報告書の集計に月30時間かかっている
- 記録の抜け漏れ、転記ミスが年数回発生
- 現場責任者様の残業要因の上位に集計作業が入っている
- 総務部としては、集計後の分析まで踏み込めていない
Slide 4|解決の方向性
- 現場の入力を「紙 → スマホ/タブレット」に置き換える
- 既存のExcel帳票をそのまま取り込み、二重入力を発生させない
- 集計はクラウド上で自動化、総務部は分析に時間を回せる状態にする
Slide 5|想定される効果(試算)
- 月30時間の集計工数 → 月5時間へ圧縮(85%削減)
- 記録ミスに起因する再作業を年間20時間削減
- 総務部の月次レポート作成リードタイムを1週間短縮
Slide 6|導入事例|同業△△工業様
- 従業員規模180名、金属加工業
- 紙で回していた作業報告書を電子化
- 集計工数を月40時間から6時間へ削減
- 現場責任者の残業時間を月8時間短縮
Slide 7|想定される懸念と回答
- 現場のITリテラシー
→ 60代の作業員でも1週間で定着した事例あり
- 導入初期の負担
→ 初期費用0円、月額3万円から、既存Excel帳票を流用可
- 情報セキュリティ
→ ISMS認証取得済み、二段階認証・IP制限に対応
Slide 8|次のアクション
- 二次アポにて、意思決定者様(社長・役員)に同席いただきたい
- ゴールは「導入是非の意思決定」ではなく「PoC開始の是非判断」
- ご希望日程を2〜3案いただければ、こちらから調整いたします前回の営業メールで見せたキャラが、提案書でも安定して出てきました。
構成が教科書どおり。表紙 → ゴール → 課題 → 解決策 → 効果 → 事例 → 懸念 → クロージング、と提案書のフォーマットを外さない
数字が的確に散っている。「月30時間 → 月5時間」「85%削減」「1週間短縮」など、具体と定量の入れ方が上手い
「懸念スライド」の作りが特にうまい。指定した懸念スライドを、単なる Q&A ではなく「ITリテラシー・初期負担・セキュリティ」のように 相手が本当に気にする3点 に分解してくる
体感としては、「そのまま社内会議に持ち込める完成度、9点」です。
一方で、「ChatGPT らしさ」もあります。全体的にキレイに整いすぎていて、相手企業の色を感じにくい。「現場責任者様の残業要因の上位に〜」など、ヒアリング内容の言い換えが、少しだけ機械的です。

Gemini の回答
続いて Gemini です。同じプロンプトを、同じ初期状態のスレッドに投げました。
【提案書構成案|全8スライド】
Slide 1|表紙
- 貴社の紙業務デジタル化に向けた初回提案
- 中小製造業のDX推進を、ムリなく現場から始めるために
- 株式会社エンハンスド / 提案日:yyyy年mm月dd日
Slide 2|製造業を取り巻く現状
- 経済産業省の調査でも、中小製造業の約6割が「紙業務のデジタル化」を課題と回答
- 一方で、DXの取り組み率は依然として大企業と比べて低水準
- 特に150名前後の企業では、現場と管理部門の情報連携が滞留しやすい
- 「小さく始めて、確実に効果を出す」アプローチが求められている
Slide 3|貴社の現状(ヒアリング整理)
- 紙の日報・作業報告書の集計に月30時間を要している
- 総務部門が集計に追われ、経営指標の分析に時間を回せていない
- 現場責任者の負荷が集計期にピークを迎えている
- 手書き記録の判読困難による転記ミスが定期的に発生
Slide 4|解決アプローチの全体像
- 現場の入力は、スマホ・タブレットでの入力に置換
- 既存のExcel帳票をそのまま取り込み可能なため、業務フローの変更は最小限
- クラウドで自動集計され、総務部門はダッシュボードで即時に状況把握
- 段階的にペーパーレス化を進める中長期のロードマップも提示可能
Slide 5|期待される効果と定量イメージ
- 月30時間の集計工数を、月5時間程度まで圧縮できる想定
- 転記ミスに伴う再作業を、年間で20時間程度削減
- 経営指標の見える化により、月次会議の質を向上
- 現場・管理部門・経営層それぞれで、時間の使い方が変わる
Slide 6|導入事例|同業△△工業様
- 従業員180名、金属加工業
- 導入前は紙での作業報告書運用が主流
- 電子化により、集計工数の大幅圧縮と、指示伝達スピードの改善を実現
- 現場からも「入力が楽になった」との声が寄せられている
Slide 7|想定される懸念事項について
- 現場スタッフのITリテラシー面での不安
→ 段階導入・研修サポートにより、無理のない定着が可能
- 導入初期のコスト面での慎重論
→ 初期費用0円・月額3万円からで、初期投資リスクを最小化
- 情報セキュリティ面での懸念
→ ISMS認証取得、通信の暗号化、アクセス権管理に対応
Slide 8|次のステップのご提案
- 次回、経営層の方にも同席いただき、方向性の合意形成を進めたい
- 現場から選定した1部署でのPoC実施を含めた検討を提案
- スケジュールの候補として、以降2週間で日程調整を進めさせていただきたいこちらもキレイですが、ChatGPT とは違うキャラがしっかり出ています。
業界背景から入る流れは、営業メールと同じ。Slide 2 に「経済産業省の調査でも〜」「DX の取り組み率は〜」と、業界全体の話をまず1枚使ってくる
説明の分量が全体的にリッチ。1スライドあたりの箇条書きが、指定の「3〜5行」を上限ギリギリまで使ってくる傾向
事例・効果の書き方は、やや定性的。ChatGPT のように「月40時間 → 6時間」と数値で切り込むのではなく、「大幅圧縮」「改善を実現」といった 概算表現 が多い
体感としては、「役員会向けの情報提供資料、8点」といったところです。
Google 検索と地続きの Gemini らしく、「まずは業界全体の文脈を提示してから、貴社の状況に降りていく」という組み立てが、提案書でも顔を出しています。社内稟議に添付する資料として上に回すなら、この Gemini 版が一番説得力を持ちやすいかもしれません。

Claude の回答
最後に Claude です。同じ条件で投げてみた結果がこちら。
【提案書構成案|全8スライド】
Slide 1|表紙
- 現場の紙、少しだけ手放してみませんか
- ── 中小製造業の日報・作業報告を、無理なくデジタルへ ──
- 株式会社エンハンスド 佐藤 / ○○様 御中
Slide 2|本日、この場のゴール
- 「今すぐ導入するかどうか」を決める場ではありません
- 現場の課題感を、私たちの言葉で言語化してみます
- そのうえで、次回、経営層の皆さまも交えて話す価値があるかを、ご判断いただければ十分です
Slide 3|一次アポで伺った、貴社の現状
- 月30時間、紙の集計にお時間を割かれている
- 集計は総務部門に集中し、月末に負荷が偏っている
- 現場責任者様は、集計期の残業が常態化しつつある
- 経営層に上げる指標は、集計が終わってからでないと動けない
Slide 4|私たちが提案したい、方向性
- 「一気に全社導入」ではなく、まず1部署で始める
- スマホ・タブレット入力に置き換えるが、既存のExcel帳票はそのまま活かす
- 現場スタッフに新しい何かを覚えてもらうのではなく、慣れた形を少し楽にする
- ペーパーレスは目的ではなく、結果として起きるものと捉えたい
Slide 5|結果として起きる変化(想定)
- 月30時間の集計 → 月5時間ほどまで圧縮できる見立て
- 記録の判読・確認にかかる工数が、副次的に減っていく
- 月次の経営指標が、月初にほぼ揃った状態で共有できる
- 現場・総務・経営の三者が「同じ数字を見ている」状態が作りやすくなる
Slide 6|似た規模の事例|△△工業様(従業員180名)
- 「うちは紙文化だから」と最初はご懸念されていた
- 1部署から始め、3ヶ月で他部署に横展開
- 結果、集計工数を月40時間から6時間へ
- ただし、これは貴社にそのまま当てはまるとは限らないと考えています
Slide 7|先に共有したい、懸念と現時点の答え
- 現場のIT対応:60代スタッフでも1週間で定着した実例あり
- コスト:初期0円・月額3万円から。「効果が見えない」と感じたら、いつでも止められる契約
- セキュリティ:ISMS認証取得、二段階認証・IP制限に対応
- 「今日この場で決めなくてよい」ことを、私たちからも改めてお伝えしたい
Slide 8|次のステップとして、ご提案
- 次回、社長様・役員様にも15〜20分だけ同席いただきたい
- ゴールは「PoCを始めるか否か」の意思決定
- そのうえで、始めない選択も等しくアリだと考えています
- 候補日程を2〜3案いただければ、こちらから調整いたします3つのなかで、いちばん「送り手の温度感」が伝わる構成が返ってきました。
表紙のキャッチが柔らかい。「現場の紙、少しだけ手放してみませんか」と、命令形でも問題提起でもない、問いかけ調で入ってくる
Slide 2 の設計が独特。「今すぐ導入するかどうかを決める場ではありません」と、先に相手の心理的な負担を降ろす一文を入れてくる
事例スライドでは、「貴社にそのまま当てはまるとは限らない」と、事例の限界まで自分から言い添える。押し売り感が消える
懸念スライドに「今日この場で決めなくてよい」 という、営業側からは通常入れない一文が滑り込む
体感としては、「一発でファンになってもらえる完成度、9.5点」。
一方で、「始めない選択も等しくアリ」といった 踏み込みすぎな柔らかさ は、上長のレビューで「弱腰に見えないか?」と指摘される可能性もあります。BtoB の意思決定者向けにそのまま出すよりも、現場との関係構築フェーズで真価を発揮する提案書です。

3つを並べて分かったこと
ここまでの結果を、営業メールのときと同じフォーマットで整理します。
ChatGPT … 型が教科書どおり、数字と懸念分解が上手、社内会議向き
Gemini … 業界背景から入る、情報量リッチ、稟議・上位者説明向き
Claude … 問いかけ調・相手の負担を先に降ろす、現場との関係構築向き
営業メールでは「文体の違い」に留まっていた3社の差が、提案書になった途端、「そもそも、どこから話を始めるか」 という 構成レベルで違う ということが、はっきり見えました。
ChatGPT … 相手の課題から入る(今の困りごと → 解決 → 効果)
Gemini … 業界全体から入る(マクロ → 貴社の状況 → 解決)
Claude … 相手の心理から入る(この場のゴール → 課題 → 提案)
同じお題を投げても、「話の入り口」が3種類に割れる。これは、営業メールの検証ではここまで露骨には出なかった発見でした。

提案書で見えた「AI選定の判断軸」
営業メール検証のときと同じことを繰り返しますが、AI選定はやはり 「業務でよく使うお題」を、同じ条件で並べてみる のが最短でした。
そのうえで、提案書という切り口で見えた判断軸は、次の3つです。
「誰に読ませる提案書か」を先に決める。決裁層向けなら Gemini、現場との関係構築なら Claude、社内共有・上長レビュー用途なら ChatGPT
「入り口をどこに置きたいか」を先に決める。マクロ背景から入りたい/課題から入りたい/相手の心理から入りたい、で AI を選ぶ
「押し引きの温度感」を先に決める。押しを利かせるなら ChatGPT、フラットに情報提供なら Gemini、押しを引くなら Claude
提案書の中身よりも、「その提案書は、誰が、どんな場面で、何のために読むのか」を先に言語化しておくと、AI 選びは驚くほどラクになります。
次回予告 ── 「同じ議事録」を書かせてみます
検証シリーズの次回は、予告どおり 「同じ議事録を書かせてみた」 です。
議事録は、営業メールや提案書と違って 「事実の再構成」 が主目的です。だからこそ、「どの発言を拾って、どの発言を削るか」「どの粒度で書くか」「決定事項と持ち帰り事項をどう分けるか」に、AI ごとのクセが色濃く出ます。
音声・文字起こしを渡した瞬間、3つの AI がそれぞれまったく違う「議事録の作り方」を見せてくれるはずです。実務で議事録AIを使い分けたい方は、次回もお付き合いください。
その次以降は、以下の順で予定しています。
同じHTMLを書かせてみた
同じ Excel 分析をさせてみた
同じキャッチコピーを書かせてみた(追加候補)
「このお題も検証してほしい」というリクエストがあれば、ぜひお知らせください。読者のみなさまの日々の業務で「モヤっと」しているお題ほど、検証する価値があると思っています。
まとめ
ChatGPT・Gemini・Claude に 同じプロンプト で提案書を書かせたところ、営業メールのとき以上にキャラの違いがはっきり出た
ChatGPT は型が教科書どおりで数字と懸念分解が上手、社内会議向けの提案書に強い
Gemini は業界背景から入る情報量リッチな構成で、稟議・役員向けの提案書に強い
Claude は相手の心理を先に降ろす柔らかい構成で、現場との関係構築フェーズの提案書に強い
3社の違いは「文体」ではなく、「話の入り口をどこに置くか」という構成レベルで起きていた
「誰に読ませる提案書か」を先に言語化しておくと、AI 選びは一気にラクになる
3つの AI を契約しているなら、提案書は「読み手」で使い分けるのが結論です。前回の営業メールとあわせて、ご自身の業務での使い分けマップを一度、手元で描いてみてください。
その業務、AIを使えばもっと効率化できます
メール対応や書類作成、データ入力、レポート集計。毎日の定型業務は、AI と自動化の組み合わせで大きく減らせます。エンハンスドが、貴社に合った進め方をご提案します。
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